2012年6月20日水曜日

自分の技量は、まずコンディションが良好でなければ発揮できない

自分が失敗したかどうかは、相手がもう来なくなったり、次の面接のときに遅れてくるとか、攻撃的になるとかでわかります。

たとえば、クライエントに思いきって、「私はあなたのセラピストとしては、スケールが小さすぎるかもしれない」というようなことを言ったとしたら、次の回がすごく大事になります。

次の回に遅れてきたり、来なかったりしたら、自分の言ったことは失敗だったということになります。そういうこともありうるということをすべて考えていないとだめです。

それから、明日、相手と対決するというときは、食事と睡眠をよくとるなど、コンディションを完全にととのえておく必要があります。

これは、スポーツ選手や芸術家と同じです。もちろん、プロである限り、どんなコンディションでも、ある線は崩さないというものでなければなりません。

先日、世界的フルート奏者のシャンリピエール・ランパルと対談したとき、自分でも満足のいく音が出せるのはめったにないとのことでした。しかし、‐ランパル自身は満足していなくても、お金を払って聴きにきた観客は十分に満足して帰ります。それがプロというものです。

われわれでもそうだと思います。どんなコンディションでも、ある程度のことはできる。しかし、「今日はやったぞ」と思えることは、非常に少ないものです。

自分の技量は、まずコンディションが良好でなければ発揮できないし、そういうことを考えていないセラピストは、ニセものだと思います。また、すごくむずかしい人の場合、七人も八人も会ったあとで会うというようなことは絶対しません。

そんなふうに注意をしていても、ときとして、どうしても書かねばならない原稿があって、ほとんど寝ていないとか、不慮のことが起こることがあります。

ところが、こちらはいつもと変わらないつもりでいても、クライエントは必ずこちらの不調を敏感に察知します。すると、当然、相手のこちらに対する態度も変わってきます。