2012年5月16日水曜日

富士通当時の社長の「週刊東洋経済」の発言に驚いた

エポックメイキングだったのは、富士通の秋草直之社長(当時)の発言です。業績が悪いのは「従業員が働かないからだ」とインタビューで答えています(「週刊東洋経済一二〇〇一年一〇月二号」。この「週刊東洋経済」の記事は、ITの時代にもかかわらず、富士通が一七年前の連結決算最高純利益を更新できず、しかも過去一〇年間で一度しか社長が替わっていないことを指摘していました。

秋草社長は自らの経営責任について、次のように答えています。

記者:就任以来ずっと下方修正が続いている。社長としての責任をどう考えるのか。

秋草:くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない。毎年、事業計画を立て、その通りやりますといって、やらないからおかしなことになる。計画を達成できなければビジネスユニットを替えれば良い。それが成果主義というものだ。

記者:従業員がやらないから、といえばそうだが、まとめた責任は社長にあるのではないか。

秋草:株主に対してはお金を預かり運営しているという責任はあるが、従業員に対して責任言々といって、(社長は従業員に)命令する。経営とはそういうものだ。

何とも大会社の社長にあるまじき言葉だと驚いた。

今、日本が「英国病」になっている

先進国がいわれていた言葉に、「英国病」というのがあって、労働者はあまり働かないけれど、日本は一生懸命やるというような話です。日本で電電公社(現NTT)に電話を頼むとすぐ来てくれるが、イギリスでBT(ブリティッシュ・テレコム)に頼んでも1ヵ月もかかるといわれていました。

私は九三、九四年にイギリスに留学しましたが、申し込んだBTは次の日には来なかったけれど、三日で来た。帰国してからNTTに連絡したら1週間かかったこので、いつの間にか話が逆になっているなと思った記憶があります。

八〇年代前半は浮かれていた面もあったけれど、品質は世界的にも自負があって、それが企業倫理をどこかで支えていました。しかし、今は全然違う。海外に日本企業がどんどん進出しているためもあるけれども、どこで作っているのかさえよくわかこないものが多い。

中国から輸入された野菜が日本で許可されていない農薬を使っていて回収されたことがありましたが、それと同じようなことが、あらゆる製品で起こる可能性があります。品質管理をどのように行うのか、きちんとしてもらわないと、大きな事故につながりかねません。