2014年12月2日火曜日

規制緩和を行なう必要性

これに対処するのに、政府がビジョンを描いたり、補助金を与えたりする必要はない。新しい活動は、民間の創意によって生まれるものだからだ。要は、それを阻む障害を除去することである。伝統的な形態の経済活動を保護するためにさまざまな規制が加えられているため、新しい技術の潜在力が発揮できない場合が多いのである。

とくに問題となるのは、料金規制と新規参入規制だ。ネットワークを用いれば飛躍的なコスト引き下げが可能になる。しかし、料金規制があれば、そのメリットは利用者に届かない。また、米国の実例にみられるように、ネットワークビジネスは、当該分野の既存企業が手がけるよりは、新規参入する部外者によって切り開かれる場合が多い。しかし、参入規制があれば、それが実現できない。

株式取引については、ネットワークの利用によって、手数料を従来の数分の一に引き下げることが可能となる。一で述べたように、米国では新規参入企業によるネットワーク取引がめざましい成長を遂げている。これに対して、日本では、これまで証券業は免許制で参入が自由でなく、また手数料も大口しか自由化されていなかったので、さほどの変化が生じなかった。

ただし、これについての状況は大きく変化している。免許制から登録制への移行はすでに実現している。また、九九年の秋には、手数料が完全に自由化される。これらによって、オンライン取引の条件が、日本でも整うだろう。しかし、その他の分野では、条件は必ずしも整っていない。ネットワーク取引を促進させるには、以下の分野を中心として、規制緩和を行なうことが必要だ。

書籍については、ネットワークを用いる通信販売によって、大幅なコスト引き下げが可能となる。このメリットを消費者に還元するには、再販制についての検討が必要だ。これについては、公正取引委員会が、「今世紀中に結論をうる」としている。最近の技術進歩を考慮し、このスケジュールを前倒しして検討を急ぐ必要があろう。