2012年7月11日水曜日

父性への期待や要求が高まる

父性への期待や要求が高まる中で、父親や教師が父性に欠けているため、私たちのようなカウンセラーが、よけいにそういうことをしなければならなくなってきたとも言えます。

つまり、世の中の人が避けていることを、カウンセラーがやらされているわけです。だから私は、クライエントにもよく怒ります。「このことができない限り、ここには来るな。私はそんな甘っちょろいやつに会うために生きてるんじやない」などと、はっきり言います。

カウンセラーは、父性をもってなければ、むずかしいクライエントには対処できません。これは、男と女に関係なく言えることです。

日本はもともと母性的な社会ですから、母性は特別に訓練しなくても身についています。ところが、キリスト教文化圏の西洋の人たちは、なかなか母性が身につかない。

ユングは母性的な面も重視した人ですが、その点、日本人のカウンセラーたちは、相手をやさしく包みこむような母性を自然に発揮できるので、彼らはそれにびっくりします。

父性を発揮するときも、母性的な受容と同様、真似するだけでは逆効果です。カウンセリングでは母性を基盤にしつつも、どこかの段階でズバリと父性を出さなければならないときがあります。

ところが、期待はしつつも、父性に慣れていないことではクライエントも同じですから、よほどよく考えてやらないと失敗します。